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【事例】変な見積り依頼のウラ(仮説の勧め)

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

 

今回は知り合いの静岡の経営者の話をさせていただきます。

機械類の修理業です。組合にも参加しており情報網が凄くある人で輝かしい人にしか見えません。

 

ある日の発注

突然ある修理の代理店からの問い合わせがあったそうです。

態度は横柄で、とにかく見積りを出せとのことでした。規模も大きい代理店で無視はできない相手です。発注内容は数百台に関わる修理でした。

数人で運営している当社では、多くの仕事を抱えていてできないため一旦検討させて欲しいと話を流しました。その案件で重要だったのが、かなり高度な修理でした。単純に部品を変えるということだけでなく、プログラムとの連携に係る箇所も取り組まなければならなかったのです。

 

話を断りましたが社長は組合の人脈を使い周りの企業に同様の注文がないかという確認をしたところ、知り合いの企業にも連絡があったようです。

大田区などの工場でもあるように、商社が最安値の先を探しているのではという見解を持っていたため、誰も回答をしていないということでした。

 

しかし、その後どうしてもという連絡がその会社からありました。

担当の方は横柄ですが、何とか見積りを出して欲しいの一点張りでした。

数百台の修理であれば、見積り自体で相当な工数がかかりますが、経営者の方はそれに応えようとしました。

 

誰もできないという状況に陥って困っているのではと思ったからです。ビジネスの可能性は低いけれども、他社が取り組まないところに魅力を感じたのでしょう。

 

数百台の修理であれば、小さな修理業者からすれば見積りを作って断られた時にかなりのダメージといえます。事務作業と段取りの調整は事前の準備だけで負担が重くなしかかります。それがタダ働きとなるから手は出しにくくなります。

しかし、これほどの発注であれば発注を受ける企業がまずないため、その担当者が必死に探しているということが考えました。

 

そこで数週間かけて部品や標準作業時間を割り出し丁寧に見積書を作りました。

本業の作業や見積もりに加えて対応したため、毎日深夜近くまで時間をかけたようです。

 

そして、見積書を提出するに至りました。

 

態度の悪い担当者は相当びっくりしたようです。本人自体もできるわけない仕事と思っていたものを根拠立てて見積りという形で示してくれたからです。

 

 

 

受注の決め手

 提出後、しばらく音沙汰がありませんでした。

相見積もりの材料とされてしまったと思うようにしました。

しかし数週間たって発注が来ました。稟議に時間がかかったようです。

発注は、協力会社とともにこなしたところ次からは繰り返し大きな仕事が舞い込むようになったようです。

 

ここでいえることは、お客様の困りごとを感情だけでなく社長が仮説をもって見積作成を行ったところにあります。

つまり見積書を提案書に変えたのです。

 

お客様の要求が無茶であればあるほど稟議を通せるような根拠のある適切な見積書を出すことができなければ、発注につながりません。そこが担当者における課題だったのです。

 

今回の話を踏まえると社長がこの案件がいけるのではと思いかつ、難しい要求にこたえられる提案ができたことが重要です。 

結果からみればですが、いかに仮説したうえで行動するかが受注できるか否かに影響を与えます。

そこを踏まえてできるかどうかが分岐点ともいえますね。

 

実際は成功したから後付けの話ともいえますが、仕事の目利きができるというところは重要ということがよく分かるケースですね。