【解説】事業再構築補助金の不採択事業となる案件(効率化編)

こんにちは中小企業診断士、ストリートコンサルタントのCyphs(サイフス)です。

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このページは事業再構築補助金に係わる情報発信をしています。

以下のページにこれまでの情報発信をまとめていますのでご活用ください。

https://www.cyphsjp.com/money/jigyou-saikouchiku/wakaru/

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事業再構築補助金の申請において残念なのは、事業計画の前提条件で不採択となることです。

公募要領のP14の真ん中にある不採択となる事業計画の説明に細々と記載されていますが、こちらを必ずチェックしてください。

いくら計画が前向きだとしても、それに該当する計画である場合、不採択や採択後に交付取消と消しとなる可能性があります。

 

 ・以下に該当する事業計画である場合には、不採択又は交付取消となります。

⑤ 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させるような事業

 

 上記についてはリストラ等を指すわけですが、余剰人員を削減して売上を維持できれば固定費的な費用びの人件費が圧縮されるため自然と利益が生み出される体制となります。

※もちろんそれだけで利益体質が維持できるとはいえないのですが、ストーリーとしては財務諸表上で語ることができるため分かりやすいですね。

 

国の考え方は?

 国としては雇用促進と企業成長の二兎を追う戦略なので、雇用が減ることは容認できません。

そのため当補助金においても付加価値額の増加が前提となっています。

 

付加価値額=「営業利益」+「人件費」+「減価償却費」としています。

 

人件費を落とすことで営業利益が上がりますが、人件費が同じく減少するため相殺となります。

となると売上の大幅な拡大や人件費以外の経費の削減、今回の設備投資による減価償却費により付加価値額の増加を目指すことになります。

システム販売やWeb通販(Amazonや携帯アプリケーションサービス)のような先端産業の売上拡大においてもそれ相応の人員が必要であることは一定程度明白ですから、計画の実施体制の弱体化につながるとも捉えられるため厳しく見られてしまいます。

 

 

バブル崩壊後は人の削減でも良かったのですが、雇用の創出にはつながらず、人員不足によるノウハウの継承や新たな取り組みの阻害につながったことも考慮してこのような付加価値を求める事業計画が必須となったことを理解してください。

 

よって人員削減や人件費削減に安直につながる取り組みは審査で対象外と認定されてしまう可能性があります。

 

どんな計画が人員削減計画と捉えられるのか

以下のようなものだと思います。ただし、書き方次第では前向きな取り組みと捉えられるため確認してみてください。

 

①システム導入が今一番非効率で人員が多い部署の改善につなげることができる

【書き方】

システムの導入により非効率な部署の人員を新規分野の担当に振り替えることができるため、更なる売上拡大による付加価値額の増加につなげることが可能

※非効率な部署の人員を削減するとは書かない

 

②機械導入とAIの導入で少ない人員で対応できる

【書き方】

すでに人手不足 → 現状の少ない人員で更なる高付加価値な仕事を確保できる

人が溢れてしまっている → 人のノウハウや経験で対応すべき微調整や検査などに人員を振り分ける

※人が長期的に不要となるとまでは書かない

 

 

③外注先や委託先に業務を単純に移管

【書き方】

外注先、委託先への業務を振り分け自社でやるべき業務に特化することで人件費を下げず、付加価値額の増加が図れるかを示す書き方にする。

高度な設計や組み立て・調整に特化する等の付加価値が高い業務に専念することで付加価値額の増加が見込める。

※業務の移管を続けることで組織が極端にスリム化されるとは書かない

 

人を削減すると計画書に書けば一発アウト(不採択)ですが、「しっかりと仕事を切り分け」たり、「役割分担、専門的な運用」等を検討していく前向きな人員計画であれば反対に評価される可能性があります。

 

以上を踏まえて計画の作成に取り組んでみてください。