新規事業を実施するうえで機会と脅威を確認することは重要です。
中小企業診断士の派遣を受けると現状のヒアリング、いきなりSWOTの話をする専門家もいると思います(最近は少ないかもしれませんが)。
いきなり自社目線で強い、弱いといっても狭い視点での判断になりかねません。
そのためまずは世の中を広い目線で見てください。自社と関係の無いような情報にも目を向けてみてください。そんな情報が自社に関係する場合もあります。
広い目線で
広い目線でみると円安、原材料高、物流費用の高騰、コロナによる業務推進における諸問題などのタイムリーなトピックが挙げられます。
ここから読み取れるのはかなりぼやっとしたところでインフレ、国内経済の縮小、賃金の低下などによる景気の後退・停滞の可能性でしょうか。
では今回はインフレで考えてみましょう。
インフレであれば顧客は安いものに目が無くなります。
ここで圧倒的な低価格を出せるとしましょう。
おそらく想定どおりお客様はなびくでしょう。
でも今までであれば、単純に安い材料を調達、大量仕入れ、安く雇う、サービスの簡素化をする、企業によっては紙一枚の無駄の削減という感じで進めていく感じでしょうか。
ですがそれにも限界がでてきたというフェーズです。
そんな中でお客様に目を向けてもらうための低価格化のためにはどうしたら良いのか。
一点面白い事例を出してみます。
Rizapはどうしたか
中小企業さんには参考とならないかもしれませんが、Rizapグループさんの取り組みを紹介します。
Rizapといえば結果にコミットということで高額な支払いが前提となるパーソナルジムを展開しています。
直近では数期にわたって赤字となり、つぶれる等と暴言を吐かれています(キャッシュの量からしてつぶれませんが)。
彼らが新しく取り組んでいるのがfitfield24です。いわゆる24時間使い放題のジムで急激に増加しています。
これは高級路線であるRizapさんが自己破壊をしていると思える事業です(実際はターゲットが違うため問題はないと思えます)。
そのRizapさんが進めているのが、月額税抜き2980円の24時間使い放題の事務運営です。
正直頭おかしいのと思ってしまいますが違います。クレバーです。
ちなみに他社で24時間ジムの価格帯は6000円前後という感じでしょうか。
つまり、まさに価格破壊です。ここまで徹底した低価格化で儲かるのか。
ですが儲かるのです。
その理由は以下のとおりです。
①ほぼ人件費がかからない(掃除程度)
②トイレがない(地元の人を狙ったサービスで、30分~60分くらいの滞在を目指している)
③AIによる監視(防犯はカメラで360度?実施)
④アプリによるマシン使用率のコントロール
⑤シャワーがない(他の24h事務もありません)
⑥初心者をターゲットとしたことで使い方の説明が不要なマシンのみのとした
トイレがない、シャワーがないという物理的なコスト削減はしています。
一方でDX化により人の仕様の流れの調整、施設内の防犯についてほぼ人を介さない仕組みにしているのです。
それにより館内の監視という機能をAIや遠隔で行うことができるようになりました。
加えて凄いのは、健康コーポレーションにて美容器具を取り扱っていることから、セルフエステも施設内でできることです。
これについてはほぼ目立っていませんが、おそらく女性利用や若い子まで巻き込んだ需要の創出が可能となります。
重要なのはDXやセルフサービスを強化することで機能減少を極力抑えつつ価格よりも高いサービスを提供することができるというものです。今までトイレやシャワーは当たり前と考えている方もいましたが、実は近所にあればそれらは不要なのではないか。セルフエステがジムにあるなんてありえませんでした。
つまり、低価格化をただの低価格ではないものに変換することができればビジネスチャンスが生まれることになります。
こういった仕組みを検討しない手はないですよね。
本題に戻します。
外部環境の捉え方で低コスト化と考えると徹底的な無駄の削減となりますが、AIやIT技術という外部環境を利用してみることで貴社においても様々な取り組みが可能となるかもしれません。
貴社に関係ないものなどない。マイナスばかり関係あるわけではないと思って外部環境を検討してみてください。
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